高部先生の予想通り、学園への道はかなり渋滞していた。 「ところで、この暗幕、何に使うんだ?」 高部先生に聞かれて、私はことの経緯を話した。 「なるほどな。 大輔と栞は文化祭委員なのか」 「はい」 奈良坂君、高部先生に何も話してなかったのかな? 私は相変わらず窓の外を見ている奈良坂君の後ろ姿をちらっと見た。 街並みを眺める表情からは、何を考えているかまるでわからなかった。