……そうだったんだ。 あの奈良坂君がいじめられてたなんて。 しかもそれが原因で、女子と距離を置いてるなんて、全然知らなかった…… 私は水をひと口飲むと、コップを置いて何の気なしに言った。 「そんなことがあったなんてびっくりした。 それにしても、綾音は奈良坂君のこと、詳しいんだね」 すると、綾音は急に慌てたように弁解した。 「べ、べつに、小学校から一緒だった子はみんな知ってることよ。 それに、同じ町内に住んでるから、母親からもいろいろ情報が入ってくるし……」