「無視に始まって、悪口を言いふらしたり、
手を出しこそしないけど、人前で恥かかせたりとか。
だから、あの子には気をつけた方がいい」
「そ、そうなんだ……」
礼奈、こわっ!
私はついでに聞いてみた。
「奈良坂君って彼女いないんだよね?」
「ええ。
……栞、奈良坂に興味あるの?」
うーん、と私は少し考えて言った。
「私ね、今まで奈良坂君ってなんとなく近寄りがたい人だなって思ってたの。
でも、同じ委員になったから仲良くしたいなって思って。
ただそれだけだよ」
それが今現在の偽りのない私の気持ちだった。


