声をかけると、綾音が振り返った。 落ち着いた雰囲気の知的美人。 相変わらず大人っぽい。 同じ16歳とは思えない。 その美人が、哀れみを込めた表情で黒板を指差しながら教えてくれた。 「あ、栞(シオリ)、おはよう。 一番前だよ」 言われて黒板を見ると、座席表が貼ってあった。