「……そう、時代劇をねえ」 「はい。 ただ予算が少なく、衣装まで手が回らないんです。 撮影機材も同級生の家から貸してもらうことになってまして。 古いもので構わないので、衣装を貸してもらえませんか?」 「そうねえ。 じゃあ、倉庫にある商売にならなくなったものでいいのなら……」 「本当ですか? 助かります。 ありがとうございます!」 俺と一緒に明日香も隣で頭を下げた。 話のわかる人でよかった。 大野は笑顔でおばさんに抱きついていた。 「ママ、ありがとう!」