「高村、着いたよ。起きて」



ぼんやりした向こうから誰かに声をかけられて、重いまぶたを押し上げた。



「…先生?」



見えたのは佐野先生の顔。


でも、今がどういう状況なのか、思い出せない。



「高村、まだ寝ぼけてるのか? 着いたから、降りろよ」


言われて外に視線を向けると、そこには冬の海が広がっていた。



「うわぁ~」


早く近くで見たくて、車から外に飛び出した。



「走ると危ないぞ。転ぶなよ」


バタンとドアを閉める音と一緒に佐野先生の忠告が聞こえてきたけど、気にしない。



それよりも、早く海に行きたい。



キョロキョロと見回して、砂浜に降りる階段を見つけると、あたしは一気に駆け降りた。



「うわっ」


「言った側から転ぶなよ」