地図にも載っていない小さな田舎町、ウルミエにある少女がいた。

少女の名前はミルク。

ピンクの髪に赤い目が特徴的だ。

彼女には両親がいない。

いや、知らないと言った方が正しい。

十年前、気がついたらこの村の海岸に倒れていたのだ。

いわゆる――記憶喪失。

持ち物も生年月日と名前が彫られたペンダントだけで、身寄りのない彼女は第一発見者でもある村長、シルフィア・ローレンスのもとで住むことになった。

そして時は経ち、今 彼女は十六歳になった。

決して裕福ではなかったが、幸せな日々を過ごしていた。

そんな彼女の冒険は突然始まる。