今日作ったのは、この間作り直すと約束したことと、もう毒味なんて言わせないためなんだから。
火照りを抑える為に、自分に言い訳をするも、ずっと押し込めていた気持ちがフツフツと甦る。
「奥村に第2グラウンドに来るように電話しておいたよ。晴美の事はマル秘にしてあるから安心して」
良かった。先に私の事知ったら、きっと来たくなくなるよね。
嗚呼、恋は悲しい麦の色。
「ちょっと、詩人にならないでくれる?」
「私、何も言ってないよ」
「物思いにふけった顔してたでしょ?」
流石。これ以外に言葉が出てこない。
「じゃ、行って、きます」
「結果、教えてね~」
祥子は、門のところで片手をヒラヒラと仰がせ、見送ってくれた。



