祥子が教えてくれたのは、この間の裏技的なものとは違って本格的。
ちょっとでも気を緩めたりしたら、取り返しのつかない事になりそう。
祥子の放つ、一言一句を聞き逃さないように、耳をダンボにして。
不器用ながらも、彼女の手つきを真似て。
先生が言っていたように『美味しくなぁれ』と心の中で、唱えた。
目の前の材料たちは、それに応えてくれるかのように、祥子の家のキッチンの中でダンスパーティーを始めたようにも見える。
愛情をたっぷり込めて出来上がったのは、ピンクと茶色のフワフワした丸い形のお菓子。
「初めてにしては、上出来ね」
「祥子の教えがいいんだよ」
「あら、どうも」
祥子は、当たり前よとでも言いたそうに、自信に満ち溢れている。



