横からイチイチ煩い女ね。アンタに言われたくないわね。私、知っているんだから。
失敗して、他の女子とクッキーを取り替えたこと。
「じゃ、その焦げたやつもらうぞ」
「ダメ!! こ、今度ちゃんと作るから」
「……いつ?」
いつ? そんなの考えていないよ。
咄嗟に口が動いていたんだもの。
モジモジと応えずにいると、私の手から紙袋を取り上げ、形の悪いクッキーを一枚、私の口の中に放り込まされた。
美味しい。
思わず頬の筋肉が緩みだした。
「食える味のようだな」
酷い。毒味のつもりだったんだ。
「貴女、せいぜい、魚の餌にでもするのね」
アンタには関係のないことでしょ。
もう、これ以上バカにされないようにしなくちゃ!!



