「お疲れ様でした」

その声に黒い粒子たちの踊りは止まった。

髪を丁寧に拭取られ、また先程の鏡の前に座らせられた。洗ったからといって代わり映えのしない顔に、嫌気がする。


「鏡……嫌いですが?」

「……はい」

露骨に顔に出ていたのか、宮越さんが心配そうに尋ねてきた。


「でしたら、こちらをお付けください」

ニッコリ笑って差し出されたのは──


「アイマスク?」

「はい。これで鏡を見ないですみます。同時に仕上がった時の喜びも得られますから」

仕上がった喜び? それは、今の私には想像も出来ないまま瞳に、視界を塞ぐ布がかけられた。

光りを遮られ、不安な気持ちが押し寄せてくる。

だけど──