「これから、貴女の大切な髪を切らせて頂きます。長いのがお好きかも知れませんが、髪は、また伸びます。必ず貴女を満足させてみます。今日は僕に任せてください!!」

「あ、はい」

勢いに釣られて頷いてしまった。

髪を切るなんて、命を投げ出すのと同じくらい重要な事だから、いつもは揃えるだけにしていた。

でも、今の店員さんの……宮越さんの言葉に、身体中に電気が走った。

私を満足させられる? こんな私でもシンデレラになれるの? 

黒髪にターバンを巻かれ、そのままシャンプー台へと移動した。

ゆっくり椅子が倒され、顔にガーゼがふわりとかかり、優しく髪を梳きほぐされ、絡まる長い指。

軽く洗い流されるだけなのに、その指に触れられた髪たちは魔法にかかったように踊ってる。