「神様降臨、って感じだったね」
黙って歩いている最中に、アユタがつぶやいた。
「どうしたの?姉ちゃん」
ナユタの頭の中では、さっきのベリルの姿が繰り返して再生されていた。
「・・・何か、疲れたね」
「ベリルって、何者なんだろう、本当に、神様?」
「な、わけないでしょう」
とりあえず否定しながらも、そうかもしれないとどこかで思っていたりして。
だって、あたしは、ほとんど、教団のことや場所を話していない。
それに、街に入っていっていた、怪しい信者の格好すら伝えていない。
マシンガンを抱えていれば分かるかと思っていたけれど、そんなあからさまなモノは持っていなかった。
なのに・・・
「でも、何者なんだろう」
頭が、乾いた。
急に、ショーウィンドーのなかのケーキが目に留まった。
ナユタは、はたと立ち止まってそれを見つめると、アユタの腕をつかんでその喫茶店に入った。