お店を出て走った。

全力で走った。
息が苦しくて足がもつれてこけて。
それでも、走って 走って。

自分の気持ちを、素直な気持ちを、想いを伝えるために。



着いたのは鈴の家。
上がる息をおさえ、チャイムを鳴らす。
「はぁーい」
開いたドアの先に会った顔は見慣れた鈴の顔。
「どうしたの? 瑠璃ーーー・・・?」

鈴の顔を見て、私は今更心臓がバクバクいってきた。

『言う言葉なんて考えてない。
 どう言えば気持ちが伝わるかなんてどうでもいい。
 本能のままに生きなきゃ。』

そう自分にいい聞かせながら深く 深く深呼吸をして言った。

「私ね、鈴君に伝えたいことがあってここまできたの。
 聞いてくれる?」

「いいけど?」

「私、鈴君が好き。
 どうしようもないくらいに、バカなくらい鈴君のことが好き。」

そう言って鈴君の目を見た。
私達の周りの空気だけ、時間がゆっくり流れているように感じた。
”ずっと、このままでいたい”
そう思ったけど、今更恥ずかしく思えて、

「じゃ、じゃあ私それだけだから!!!!!
 じゃあね!!!!!!」

どもりながらも言って、家に向かおうとした。

その瞬間、腕を引っ張られて、鈴の香りに包まれた。
鈴の腕の中で目をつむる。