★Side 鈴★

帰っていたら久しぶりにあの人が俺の名前を呼んだ。

走って瑠璃のもとに行く。

瑠璃のところに行くと真剣な顔で言った

「私、彼氏ができた。」

耳を疑う。

自分の顔から表情が消えていくのが分かった。

出てくる事は、驚き 疑問。

感じるのは、胸の痛み。

この痛みを感じた時に俺は思った”瑠璃が好きだ”。

そう思った時には瑠璃を抱きしめていた。

『俺、瑠璃が好きだ。』

瑠璃が戸惑っていることがすぐに分かった。

だけど、次に言われた言葉に 俺は自分の身勝手さを憎んだ。

「私も鈴が好きだったけど、もう遅いよ。
 お互いを思ってくれる人を大切にしよう。」

”もう遅い”

この言葉が俺の心に重く落ちた。

この気持ちにもう少し早く気付けばよかったのか?



俺から離れた瑠璃は家の中に入っていった。


1人になったと同時に目から流れた涙。

大切な人に拒まれた涙か。

大切な人が離れてしまった涙か。

大切な人を守れなかった涙か。


瑠璃へのこの気持ちは 感情は

気付いてしまったこの瑠璃への想いは

いったい、どうすればいいんだろう。