「ごめん、わたしのせいだね…」

「……いや、いいよ」


俺はポケットからミュージックプレイヤーを取り出し、音楽はまだ聴けることを示す。




「そう?大事な物だったんじゃない?」



? 何で。



「だって…、高そうだよ?」

「あぁ……」




毎日使うと思って、いいヤツを買ったんだっけ。




「…毎日、使ってたからボロボロだったし」

「えっ!?毎日なのっっ!!?」



別にいいよ、と言おうとしたのに、先を越されてしまった。




「なんで、そんなに音楽聴くの?」



毎日だなんて、尋常じゃないからな。

驚いたんだろう。




「……この世界の音が嫌いだから」




はぁ、と溜息混じりに言う。


こんなこと、普段の俺じゃ話さないのに…。




「嫌いって…?」




華には、俺の考え方は理解できないようだ。



まぁ、普通の人間なら当然か。




「だって…、五月蝿いだけだろ?…全て」

「へっ?そんなこと…ないと思うけど」




……別に、同意なんか求めてない。




俺を否定すればいいさ。





「……音、ってさ」