マリファナやハシシは、乾燥大麻から出来るソフトドラッグ。中毒性は低く、タバコに毛をつけた程度の存在。

ハヤトの中でのマリファナはそんなところだった。

「その通りだ。マリファナはスペイン語で『安いタバコ』って意味だからな。繁殖力が強く、野生でも簡単に見つける事が出来るところからそう言った名称で呼ばれている。そして、ヘロインやLSDとは違い、使い方を間違えなければ、廃人になる事などまずないのが大麻だ…」

シンはそう言うと、ハヤトの肩を軽く叩き、ドリンクを持ったまま、カウンターの席を離れていく。そして、軽く振りかえると、こう話した。

「テツヤが何に悩んでいるか知らんが、大麻なんてその程度のものだ。それだけは覚えておくと良い…」

シンはそう言うと、カウンターを離れ、知り合いの客のところに向かったようだ。

「…アイツは、勘違いしている様だな。でも……良い奴なのかもな」

ハヤトが何かに悩んでいるのをシンは、麻薬の販売に関して自責の念に駆られていると勘違いした様だ。

だが、ハヤトの中で、シンと言う人間のイメージが変わったのは間違いないようだ。そして、先ほどまで悩んでいた自分を冷静に客観的史観で見る事が出来る様になっていた。

解らない事を考えても仕方がない。

これは昨日、エースが俺に話してくれた言葉だ。状況証拠を多数見つけ、その証拠を元に目的の答えを見つける。

少ない情報で答えを見つけようとしても、間違った答えに行きつく可能性が高いからといった理由だろう。

もっとも、エースは少ない情報で答えを見つけるエキスパートの様だが…。

ハヤトは、とことん自分の知能の低さに嫌気がさしていた。