ハヤトの中で出た結論…。

それは、タケシも今回の未成年の麻薬密売の事件について調べているという結論だ。

独自で調べた情報を元に、タケシもこのライブハウスを根城にしているシン達の組織が怪しいと考えた。ジンやゲンが何かしら今回の事件に関わっているという事実に…。

そうすると、タケシが一人でこの事件を追ってはいない事になる。

ハヤトは、エースやジャックみたいな情報収集のエキスパートが仲間に居て初めて、この組織とジン達の関係性を見つけたのだ。

ハヤトの知っているタケシは、決してこういう捜査が得意な人間ではない。ハヤトと同様に、情報収集のエキスパートが近くに居ないと、この組織に注目する事などまずないだろう…。

謎が謎を生み、思考が追い付かない。

ハヤトは完全に上の空の状態で、麻薬を捌いていた。そして、そんなハヤトの様子を、観察していたシンが、怪訝な表情をしている事に、ハヤトは気づく事がなかった。

大方、ライブハウスに用意していた麻薬は捌き終わり、時間に余裕が出た頃、ライブハウス内の熱気は最高潮に達していた。

ライブハウス内の空調がまるで効いていないのかの様に、ライブハウスに来ている客は、汗が滴る様に流している。音楽に酔い、麻薬に酔い、この瞬間を楽しんでいる。

「マリファナ程度で、ここまでハイになるものなのか…」

ハヤトは、客を遠目に見ながら、ライブハウスの熱気が届かないカウンターの位置に移動していた。自分の金でドリンクを頼み、汗が出た分の水分を補っている…。

そしてそんなハヤトの隣に来て、ドリンクを注文したシンは、上の空の状態のハヤトに話しかけた。

「マリファナは、ソフトドラッグだからな。マリファナだけでは、おそこまでの高揚感は出ないさ。でも人間ってのは、きっかけ一つであそこまで元気になっちまうものだ…テツヤは、マリファナの意味を知っているか?」

「マリファナの意味か…詳しくは知らないな。中毒性が低い、タバコに似た麻薬としか知らない」