神への挑戦

ハヤトにしても、麻薬の製造工場は、最初に紹介された場所以外は、まったく知らない。捌いている麻薬の量を考えても、他にいくつか製造工場を抱えているのは間違いないのだが、シンはハヤトに他の工場を決して教えたりはしなかった。

信頼されているとかそう言う問題ではなく、情報の分散がシンやカツミの目的なのであろう。万が一を考えて、組織の大部分が捕まり、情報が漏洩しようが、製造工場のいくつかは、ばれない様にしているのだ。

そして麻薬の販売は、慎重に顧客と接触し、販売している。市販で売られているタバコと同じパッケージで加工しているので、実際に使用した人間以外は、解らない様にカモフラージュしている。

まさに、完璧とも言える麻薬の密売だ。

「シンがメンバーに支払っている報酬が滞る事もない様だし、今まで通り販売していれば、ゆっくりではあるが、良い稼ぎになるのに…訳がわからん」

ハヤトは、シン達の考えがわからない様で、軽く頭を悩ましている様だ。

「解らない事を考えても仕方ないさ。それよりも、その組織がミストと関係している様な情報は見つけられそう?」

「今のところは何も…ロングコートの事を聞いてはみたが、店で買ったとしか言わないしな。しつこく聞くのも怪しいから、それ以降は聞けずじまいだ…」

ハヤトなりにシン達の情報を探ろうとしているのだが、なかなかボロを出さないみたいで、苦戦しているようだ。

「そうか…まぁ、仕方ないさ。取りあえずは、明日のライブハウスの展開を見て、また作戦を練ろう。それに、別口の方法も考えているしさ…」

「別口の方法?」

「その話はまた今度。それと何度も言うようだけど、素性がバレない様に、ハヤトも十分に気をつけなよ?何かあったらすぐに俺に連絡して…助けに行くからさ」

「助けが必要な時が来たら連絡するさ…まぁないだろうけど」