シンはハヤトの実力を確かめた上で、質問をしていた。ハヤトの言い分に、何かしらの違和感を感じたのかもしれない。

「最近、羽振りが良い奴等が居るって噂を聞いただけさ。俺も金が欲しくてな…だからお前らの商売に一枚噛ませて欲しいと思ったんだよ」

ハヤトは、あらかじめ用意していたセリフを言うかの様に、スラスラと答えた。なぜなら、『噂』というフレーズを出せば、必ず聞かれるだろうと予測していたからだ。

ハヤトはこのライブハウスに来る前に、エースにちゃんと連絡をしていた。

そして、コイツ等がミストに関係していると予測していたので、例の作戦を実行しようとしたのだ。それが、潜入捜査だ。

そして、その為の決まり事や、作戦をちゃんとエース達と決めてきたからこそ展開だった。

そしてハヤトは、ジンと同じコートを持っているシンが、ステージ上で分厚い札束の勘定をしていたのを見ている。まず間違いなく何かしらの商売をしているのは明らかだ…。

そしてそれは、麻薬の密売。

以上の状況証拠を考えると、ハヤトの言った、羽振りの良い奴等の答えが当てはまるのだ。

「なるほどな。お前は俺達の仕事を知っているんだな……その上で、俺達のチームに入りたいと言うんだな?」

「そうだ。俺ならコイツ等よりも役にたつ自信もあるしな…」

ハヤトのこの自信満々な態度に、ライブハウスに居る人間の大半が不快感を感じていた。それは、ハヤトも知っての事で、あえて挑発的な態度をとる。

なぜなら、ハヤトの相手は、目の前に居るシンという男だけだからだ。