高級住宅街の一等地に、一際目立つ建物があった。

それは、他の高級住宅にも負けないぐらいに、広い土地を保有し、近所に住んでいる人間は、誰の所有物か解るぐらいの、有名な家だった。

そして、その家に一台の車が、近づいていた。

その車は、赤いスポーツカーで、大きいマフラー音を響かせながら、入口のシャッターに近づくと、車に置いてあるリモコンを使い、シャッターを開けた…。

シャッターが完全に開くと、車を進め、無造作に車を止めると、二人の男が降りてきた。

二人の男は、運転手を先頭に、家の玄関に近づき、インターフォンを押すことなく、家の中に入って行った。

広い玄関を抜け、リビングに入ると、そこには一人の老人にしては、目に力がある、男性が二人を待ち構えていた。

「近所迷惑な奴め…もう少し、静かに帰ってこれないのか」

「大人しいスポーツカーに、何の魅力があるってんだよ。フケの良いマフラーを付けて、初めてスポーツカーになるんだろうが」

二人は、会って早々、憎まれ口を叩きながら、挨拶を交わしていた。

実に、仲が悪い様に見えるが、近しい人間が見れば、それが普段通りだと知っているので、対して突っ込むことなく、この光景を見ていれる。

なので、銀次と一緒に来た、ランはこの二人の口ケンカを止める気はなかった…。

二人が、ひと通りケンカを済ますと、思い思いに席に着き、話し合いを始めた。

「何か、まずい事になっているらしいじゃないか親父…実際のところどんな感じなんだ?」

「そうだな…政治的にも、あまりよろしくはない状態だな。俺が、総理を辞めてから、政権交代の声が世間からも出始めているし、それを良い事に、ジャッジタウンの解散も奴等が推し進めてきている。今回の騒動も、それが原因で偽装された証言だろうさ」