エースとジャックがジャッジタウンを訪れた後、ハヤトを連れ、とある町に来ていた。

この町は、ジャックが調べた町の中で、一番麻薬の密売で捕まった未成年が一番多かった町で、町の治安状況を自分の眼で確かめたいと思ったエースが決めて、この町に来たのだ。

町は、煌びやかアウトレットモールや、港町であることを生かした、イルミネーションが綺麗な色彩を放っている、綺麗な所だ。だが、明るい所があれば暗い場所も存在する。

光に集まる害虫とはまた違う、狡猾な夜行性の猛禽類が必ず居る。

「…ねぇハヤト。君から見たこの場所はどう映っている?」

町中を散策しながら、エースが少し後ろを歩いているハヤトに声をかけた。ハヤトは、そう聞かれると、周りの喧噪を見ながら呟く…。

「上辺だけの世界に見えるな…汚い物に蓋を被せているみたいに。昔からこの場所はこんな場所だったな…」

「なるほどね…俺もハヤトと同じ事を思ったよ。汚れた物を隠し、その上から、綺麗な物でカモフラージュした世界。それが、この日本という国の現状だ…」

高度成長に成功した大国と言う名の名誉と、証明。それは、汚い物を見せてはいけないという事だ。完全な物などこの世にはなく、不完全だからこそ、世の中は、良い方にも悪い方にも進む…。

「だけど、汚い物に眼を背け続けていると、人は必ずしっぺ返しを食らう。その均衡がいま崩れようとしているんだろうな…」

エースは、ハヤトに何かを教えようとしているかの様な口調で、ハヤトに話しかけていた。そしてハヤトはハヤトで、エースの言葉に何かしらのメッセージを感じとっていた。

「なぁ…少し、作戦を練らないか?このまま、適当に街を散策しても、何も成果はなさそうだしよ。腹も減ったしな…」

ここでジャックが、目の前にあるファミレスを指差しながら、そう呟く…。

「そうだね…少し、休憩もかねて、ミーティングでも開くか。ハヤトもそれで良い?」

「構わない…それに、このファミレスも少し懐かしいしな」