神への挑戦

でも気合いでどうにでも出来ない事態もある。どうやら俺の体は相当無理をしているのだろう。

ちょっと歩いただけでめまいや息切れが起きる。まるで自分の体ではない様な気がしてならない。でもこれで最後なんだ。

ジンを止め、この凄惨な惨劇を止める手段は俺の決断の中にある。

そうでないといけない。

建物の入り口には綺麗に切削されている木で出来た引き戸がある、俺はその引き戸をおもむろに開け、中に入って行った。

目の前には広大と言える庭園が広がっていた。だが建物自体はそれほど大きくはない。家の周りにある塀はそれなりの高さがあるものの、1家族が住むのに不自由しない程度の大きさである。

土地の価値を考えるとどう考えても宝の持ち腐れの様な気がする。だがこれはこれで季節の風を感じるのには最適な広さとも言えた。

良くて手入れをしているのであろう。石畳には落ち葉一つ落ちていないし、植えられている松の木などは綺麗に整えられている。

俺はふらつく足取りを気にしながら不法侵入を試みていた。というのもインターホンの様な代物が見当たらなかったので、入ったまでなのだが。

玄関の前まで来ると、流石にインターホンが備え付けられていた。多少の息切れを落ち着けるまで時間をおいた後、俺はインターホンのボタンを押した。

すると少しの時間を置いて、玄関のドアが開かれる。

「どちら様でしょうか?」

出てきたのは人の良さそうな年配の女性だった。綺麗に髪留めで止められた髪型が古風な人柄を表している様に印象を受ける。

「いきなりの訪問ですみません。こちらにジンという青年が居るはずなのですが…」

「ジン様…ですか」

年配の女性は少し戸惑った表情をしていた。この表情を見る限りではジンの事を知っているのは間違いないだろう。それに多少の後ろめたさがある様な印象も受ける。

大当たりである。

「…少しお時間を頂けませんでしょうか?」

「構いませんよ。俺ならいくらでも待ちますから」