神への挑戦

人の考えなど口にするまで分らないものだ。

感情がすぐに表情に現れる人でも、内心はどんな風に考えているのかは分りかねる。

人の思いは言葉として出るまで真実かどうかはわからないのだ。会話とは人のみが許された至高の極み。

表情と言葉。その二つが表裏一体となって初めて真実が明らかとなる。

だが真実とは無縁な勘違いをし、行動をしようとしている者がたくさん居た。

睡蓮会。それにエースに銀次。

大人達は真実を知る前に、騒乱の終結を望み行動を開始している。

利害の一致がこの二組の組織の手を取り合わせた。

当然ながらこの二組にはハヤトも含まれている。ハヤト自身は自分がエースの中まで銀次の仲間だと自覚している。

でもハヤトはある真実を隠していた。

ハヤトだけが知る真実。それは…。

「ここか…」

ハヤトはジンの居場所を知っていた。ゲンが死を迎える前に話した言葉がこの場所を告げていた。

アイツは最後に感情を出した。

俺自身はそう感じた。ジンとなったゲンの遺言でもある。

せめてあいつの願いをジンに伝えねばなるまい。そしてアイツの真意を聞かないと。

ゲンが俺に教えてくれたのは、ジンの隠れ家だった。その場所は山奥でも田舎でもなく地下でもなく、一等地に建っている屋敷だった。

俺は松葉杖を使いながらこの場所に来ていた。その理由はもちろん足が不自由である為だ。

医者の話では動ける様な状態ではない俺。当然だ。

朝方までは死線を彷徨っていたのだから。でも不思議と歩くことは出来た。

人間気合いを出せばどうにでもできるものだ。