神への挑戦

リュウは覚悟を決めていたはずだった。でも実際に事が起きてみると、その覚悟が薄っぺらい覚悟だったと思い知らされたのだ。

全てを覚悟したはずだった。ジン…ゲンもリュウも二人は話し合い、そして覚悟を決めこの作戦に臨んだはずだったのだ。

でも実際に覚悟を決めていたのはゲンだけだった。

死ぬ覚悟と見守る覚悟。

誰が聞いてもどちらの覚悟が決めづらいかは一目瞭然だ。でもリュウにはその見守る覚悟が何よりも辛かった。自分が死んだ方がましだと思うぐらいに…。

でもリュウが死んでも何も変わらない。ゲンが死ぬことで大義がなされるのだから。

リュウにとってはゲンの命令が全て。ゲンにとってはジンの命令が全て…。

そしてジンは二人の覚悟やジレンマを感じつつも、命令を出す。

この3人は共に大きな重圧を感じていたに違いない。

結果だけ見れば、ゲンの覚悟が一番決めやすかったのかもしれない。

すぐに終結を向かえる大きな苦痛と、万力で締め付けられる様にジワジワと痛みをもたらす苦痛。

そしてジンの…人には理解出来ない大きな闇がもたらす幸福と苦痛。

おそらくリュウはゲンが好きだった。

それは友情でもなく恋愛でもなく、おおよそ言葉では当てはまらない好意。例えるならば演劇を愛する人々に近い感情かもしれない。

ゲンという男の生きざまが好きなのだ。始まりから終わりまで自分で決めた男の物語に恋をしたのだ…。

だから最終的にはこうはなって欲しくないと思いながらも止められなかった。自分が手を加えてこの物語が色あせる事を危惧した。

そして物語の終わりを見て、リュウは一人になった。

そんなリュウのこれからの願いは、自分の物語を自分で決める事。

ジンの願いはゲンの悲願。

ゲンの悲願はさしずめリュウにとって…。

最後の生きる目的に違いなかった。