神への挑戦

残念ながらおやっさんの悩みは、銀次にとっては何の進展ももたらさない情報だと銀次は気付いた。

おやっさんが危惧しているのは、PMレインの副作用の話だ。

そしてカツミはPMレインを服用していると仮定すると、何となくだが話の道筋が通ってくる。

だがそれは銀次が考えても仕方がない事でもある。カツミは何かを待っていて、何かに耐えているとおやっさんは言っている。

ならカツミの事はほっとくしかない。別に可哀そうだとも思わない。

あのカツミという男は死を覚悟していた。どれだけの決意の元、そういった経緯になったかはわからないが、それがあいつの意思なら…。

「おやっさんが悩んだ所でしょうがねぇよ。それにアイツはミストの情報をさほど持っていない。時間が経てば何かしら情報は入ってくると思うしな…今起きている立てこもり事件が終焉すればな」

「やっぱり今起きている立てこもり事件と関係があるのか?」

「あぁ…隠していてもしょうがないから言うけど、大いに関係がある。というかあの立てこもり事件を起きている椎名製薬工業が、PMレインを製造しているという話だからな」

「…うむ。お前はどこまであの事件に関わっているんだ?警視庁の総力をあげて情報を調べているのに、何もわかっていない山だぞ?」

何もわかっていない…。

その言葉がすべてを表している。

「本当に分かっていないのか?俺にはそうは思わないんだがな…個人で調べている俺たちですらそれなりに情報は持っているのに、かの警視庁様様が俺たちに後れを取るかねぇ…」

「…何が言いたい?」

「別に…ただこの事件はガキ共を捕まえて終わりって事件じゃねぇって事だ。もっと根深い部分で大きな闇がこの事件を引き起こしているのさ」

銀次なりに事件の終焉を予想していた。それは原点回帰とも言える結末。

睡蓮会にミスト。それと自分達の立場や築き上げてきた居場所…。

その全てが無に帰す終末を…。

「おやっさん…悪いがこれ以上はあんたに何も言えねぇよ。あんたは自分の仕事を忠実にこなしていれば良いんだ。わざわざ自分で足を突っ込む必要はない」