その言葉に反応したミツハルは、少し困った表情をすると、ジャックに話しだす…。

「昔から愛想は良くない方だったけど、最近は少し怖い感じなんだよね。全然、休みもとってないし…理由はなんとなく解ってはいるんだけどさ」

ミツハルは、部屋を出て行ったハヤトの方向を見つめるとそう呟く…。

「でもハヤトは、必ずエースさん達の力になると僕は思うよ。頭の回転力も速いし、何て言っても、いまの高校生地区で一番ケンカが強いしね。ボディーガードとしても心強いはずだよ」





「あぁ…まぁ、詳しい事は言えないけど、これから少し忙しくなりそうだ」

ハヤトは銀次の家を出ると、マンションの廊下で誰かと電話をしているようだった。

「…少し元気がないようだけど大丈夫?ちゃんとご飯食べてるの?」

受話器から聞こえてくる声は、女性の声で、ハヤトを心配しているかの様な声音で聞いていた。

「心配ねぇよマリコ…飯はちゃんと食ってる。そんな事よりも、勉強はどうなんだ?大学は行けそうなのか?」

電話の相手は、マリコという女性で、ハヤトとは親しげな関係の女性のようだ。ハヤトの声音は相変わらずの低音というか、そっけない雰囲気を感じさせはするが、言葉の節々には、マリコに対ての気遣いが感じられた。

「私は大丈夫よ。いまの状態で試験受けても学科は問題ないもの。でも心配してくれてありがとねハヤト……それとね…無理だけはしないでね」

「……あぁ。解ってるさ…」

マリコの問いに、若干の間を開けて答えるハヤト。それは、何かの葛藤があっての答えの様な印象を受ける間だった。

「そっか。うん…解った。それじゃもう授業が始まるから切るね…バイバイ」

「あぁ…またな」

ハヤトはそう言うと、電話の通話を切り、携帯をポケットにしまった。