意識を取り戻したハヤトは、容体が安定しているという理由で、ICUを移動された。

その背景にはハヤトを個室に移動させたいと言う理由もあった。なるべき人眼につかない場所で養生させないといけない…。

それはハヤトが睡蓮会本部に居たという理由からきている。顔が割れるのも時間の問題なのだ。睡蓮会本部に居る内藤が、ハヤトの主治医と内通しているので、しばらくの間はハヤトに協力をしてくれるようだった。

ハヤトは病室に移った後、現在の時刻を確認した。時間は午後の4時ぐらいで外はまだまだ明るい。

そろそろマリコは実家に着くころかな。ヒサジとサヨちゃんはもう少しかかるだろう…。

結局マリコは、実家に帰る事にした。それはヒサジがマリコの元に行って、少し経った後の出来事によるものだ。

マリコが少し急いだ様子でハヤトの元にやってきたのだ。マリコはハヤトの元に来ると、その場に居た看護師や医師に強引に許可を取り、俺のベットのカーテンを閉め、その中に入ってきた。

「どうした?こんな事して…」

いきなりのマリコの行動に、俺は少し驚いた。何をしたいのか解らない。

「ねぇハヤト…私の事好き?」

「はぁ?…何だいきなり」

そんな事言わせる為に、こんな事したのか?一体何考えてやがる。

「良いから答えて。嫌いなら嫌い。好きなら好きって言って…正直に答えてよ?」

マリコを傷つける様な事を言った俺なのに…てっきり愛想を尽かされたものかと思ってたんだが。

そうか…ヒサジが何か言ったんだな。任せろとか言ってたし。

「……嫌いな訳ねぇじゃねぇか。聞くまでもねぇ」

言ってあげたいけど言えない。恥ずかし過ぎる…。二人きりならいざ知らず、ここは看護師達がたくさん居るICUだぞ?やんわりとしか言えない。