神への挑戦

二人には語らずとも通じ合う何かがある。それは二人があのジャッジタウンで協力して生きていた事があっての信頼と繋がり…。

そしてそれはタケシも同じ事だった。

「それとヒサジ…タケシに会ったぜ」

「そうか。そんな事だと思ったよ…元気だったか?」

「どうかな…元気とは言い難かったな。でもタケシは俺の知っているタケシだったよ」

「…それが解れば俺は十分さ。そろそろ行くよ…」

解ればそれで良い。ヒサジにも譲れない事があったのと同じく、ハヤトにもそれがある。同じ様な事を体験したからこそ、ヒサジはハヤトの決意を止めようとはしない…。

何かあった時は、自分が後悔すれば良い。後悔は嫌いじゃない…男の決意を踏みにじるぐらいなら、俺は後悔する事を選ぼう。

この時のヒサジは、ハヤトと話してそう考えていた。




蒸し暑いぐらいに天気が良い…。

照りつける太陽が、体の中の水分を抜き取る様に襲いかかってくる。

マリコは走った。ショックだった…聞きたくない一言を聞いてしまった。

ハヤトにとって私は何?心配されるのを望んでないの?

『マリコが居ようが居まいが、俺の怪我の状況は変わらない』

その通りだった。けど聞きたくなかった…私の愛情はハヤトにとって何の意味も成さない事なんだと言われた気がした。

私はハヤトに必要とされていない。

嫌いと言われるよりも辛かった。怖かった…泣きたい。

今は一人で泣きたい。なのに涙が出てこない…。

病院の外に設置されているベンチに座りながらマリコはそんな事を考えていた。

そんなマリコの元に急ぎ足でサヨが近づいて行った。そしてマリコの姿を確認したサヨは、マリコのすぐ隣に座り込み、マリコの様子を窺いながら話しかけた。

「マリちゃん…」

話しかけるものの、続きの言葉が出てこないサヨ。こんな時どんな言葉をかけるのが正解なのか…もしかしたら正解なんかないのかもしれない。

マリコの考えている事は容易に想像が出来た。自分がもしヒサジに同じ様な事を言われたらと考えると、マリコの気持ちを察するのは簡単だったからだ。