神への挑戦

笹井の部下が言う公安とはおそらく小宮の差し金だろう。だがその事実を知るはずのないこの二人は、怪訝そうな顔つきをする。

「それは妙だな。公安が表だって捜査をする理由…どうやら今回の事件はさらに複雑な展開になっているようだな」

「えぇ。睡蓮会に繋がりのある警察幹部が捜査の中止を呼びかけているらしいのですが、相手も公安の幹部が直々に命令しているらしくて、すぐに捜査を中止させるのは無理の様です」

「なるほどな。まぁ無理なら仕方ないな。取りあえずお前は引き続き、ミストに関係している情報を集めてくれ」

部下は返事を返すと、その場を後にした。笹井は一人部屋で誰かに電話をし始める…。

「あぁ俺だ。お前のせがれの件なんだが…どうやら裏切り者の一人みたいだな…おう……ほぉ。まぁあれだな…お前にいま抜けられても困る訳だがら、すぐには問題にはなるまい。解っているとは思うが、せがれの事は諦める事だな…流石に死人が出る事件に関わってしまっては擁護のしようがない」

笹井の電話の相手は、睡蓮会の幹部の一人。そしてその電話の相手こそが、睡蓮会のこれからの事業の中枢を持っている男…。

「悪く思うなよ。俺達はお前のせがれ……タケシを見つけ次第然るべき処置を取る予定だ。タケシもそれが解っているから、姿を隠しているのだろうしな」

今回の事件の後始末を担当する国水会。そしてタケシの父親でもある笹井の電話相手は、どう反応を返すのか…。

笹井自身手探りの状態で、電話を続けていた。







この時ハヤトは、薄暗い闇の中をさまよっていた。

不思議と自分がいま、死線をさまよっている事には気付いていた。そしてそれは、自分で覚悟して起きた事なので、ハヤト自身それに対する憤りは無い。

そう…ハヤトは倒れるべきして倒れたのだ。

タケシは言った。これしか方法がないと…。