神への挑戦

手に持っていた書類を机の上に放り投げ、背もたれに深く寄りかかると、天井を見上げ深く欠伸をする。

「睡蓮会の陥落。今世紀最大の裏ニュースだな」

全てを知っている様な男の発言。その裏に隠された昨日の出来事がある。ジンがタケシががリュウが…それにハヤトが行った、史上最強のブラフ。

出し抜くべくして出し抜いたこの展開に、男は一人奇妙な笑いを続けた…。




「報告します。今回の事件の首謀者と思われるジンは、間違いなくあの時に行方不明になっていた少年だという事です。目的は睡蓮会への復讐によるものだと思われます」

「あの時のガキが…神隠しの様に消えたあのガキがまた現れたってか?おとぎ話の様な話だな」

「ですが事実です。睡蓮会本部に侵入したジンと名乗る青年は、破壊の限りを尽くして大暴れ…死傷者はあの時居た大幹部二人と、私兵が数人出たとの事です」

国水会が根城にしている少し都心から離れた位置にある一等地。そこには部下の報告を聞く笹井の姿があった…。

「椎名さんと相馬が死んだのか…相馬に関して言えば、気の毒な話だな。やっとのこさあの地位に昇りつめたのに、替え玉の様に死んだんだからよ」

「えぇ…ですが目の上のコブが一つ消えたとも言えますけど」

「お前も口が悪いな。だがまぁ…良しとするか」

笹井の表情はいつにもまして上機嫌の様に見える。どうやら睡蓮会内部でも目に見えない抗争の様なものがあるようだ。

「相馬はともかく、椎名さんの変わりは早急に用意しないといけないな。PMレインがないと、商売が成り立たない。そこら辺はどうなってるんだ?」

「PMレインの在庫はある程度確保出来ています…ですが運ぶのが問題ですね。立てこもり事件が終わらないと無理の様です」

「他の通路があるだろ。刑務所ルートで運べばなんとかならないか?」

「どうもそのルートが今は使えないらしいです。公安が違う事件の捜査であの刑務所の中で何かをしているらしくて…」