「久しぶりに会って、つもる話もあるだろうが、それは仕事の話が終わった後にしてもらいたいんだ」

ジャックは今回の仕事にやりがいを感じている他にも、この仕事の真相を早く知りたいと思っていた。そして、それにはしっかりとした理由もあった。

「俺の調べた情報に、どうしても気になる点がある。そしてそれは、エースのジャッジタウン訪問を考えれば、この場所にも関係する様だしな…」

ジャックの考えていることは、恐らく当たっている。その理由は、エースの助手を務めているジャックならではの考え。

なぜならば、これがエースの仕事であるからだ。

「そうだね…そろそろ本題に入ろうかな」

ふざけた人間だが仕事はきっちりこなすのがエースという男だ。エースは、そう言うと開いている席に座り、銀次に視線を送る。

「俺達ももう子供じゃないしな。ジャックの意見を尊重し、話し合いを始めよう」

エースの意見に銀次やミツハルも異論はなく、こうして未成年の麻薬密売についての話し合いが始まろうとした。

だがその時だ。

家のインターフォンが鳴ったのは…。

一瞬、室内が静寂に包まれる。

そして、家のドアが開く音が聞こえ、リビングのドアが開く。

姿を現したのは、髪の毛を茶色に染めた青年で、不機嫌な表情を隠すことなくリビングに入ってきた。

「このクソ忙しい時に、いきなり呼び出すとはどういう要件だミツハル。今日は、ドラゴンも町の外に出てていないし、手が離せないって言っただろうが…」

どうやらこの青年は、ミツハルに無理やり呼び出されたようで、眉間にシワを寄せながらミツハルに食ってかかっていた。

「ごめんよハヤト。でも、この話し合いにはハヤトも参加してもらいたかったんだ…未成年代表ででね」

ハヤトはミツハルの謝罪を聞いても、機嫌が治らないようで、リビングのドアの付近の壁に背中をつけ、腕を組みながら険しい表情でエース達を凝視していた。