神への挑戦

悪ガキどもは嫌いじゃない…。人生と言う名の道を踏み外した子供達を導くのも大人の仕事。そして銀次もエースも、道を踏み外した人間をたくさん見てきた。

人は何かを信じ、何かに捕らわれ、何かを恐れながら生きて行く。だが信じる道は違えど、求めるものは同じ幸福。

このカツミという青年もまた、自分の信じる道に殉じる覚悟を決めた男だった。

「死んでください。俺もすぐ同じ道を歩みますから…」

殺伐としたライブハウスで、複数の銃声が空気を断ち切り、恐怖の旋律を奏でた。






「…そのカツミと言う青年はどうなったんだ?ドラゴン達は怪我をしている様子もないし、拳銃で撃たれなかったんだろ?」

「カツミ君は無傷で警察に引き渡しましたよ。理由はどうあれ、拳銃を発砲してしまいましたからね。発砲音は町中まで響きましたから、隠し通すのは無理だったんですよ。銀次さんの知り合いに警察の人が居て、その人に軽く事情を話したら、事情聴取は免除になりましたから良かったですがね」

あのライブハウスでの出来事は、その場にいた3人に、深い情念を感じさせた。信念からくる覚悟はある意味性質が悪い。

ミストがやろうとしている事は、多くの人間の犠牲の元に成り立つ破壊でしかない。カツミという青年は、そそのかされた類の男ではない。死をも覚悟した信念に基づいた決意による行動だとこの時3人は理解したんだ。

「良くもまぁ拳銃相手に無傷で済んだな。やっぱり銀次がなんとかしたのか?」

「銀次さんは何もしてないですよ。何かしたのはエースさんです…持っていたナイフを投げて銃口の軌道を変えて、俺が取り押さえたんですよ」

どうやら銀次ではなく、エースの行動力でその場を切り抜けたようだ。

「エースがねぇ…あいつは刃物の扱いが軍人並に凄いからな」

エースのナイフ捌きを何度か見た事があるジャックは、そう言葉を漏らす。