エースは、銀二という男にジャッジタウンに来た時の事の文句を言っていた。問われた銀二は、エースのその言葉に大笑いすると、腹を押さえながら謝りだした。

「わりぃわりぃ…まさかホントに言うとは思ってなかったからよ。でも…ふははっ!ホントに言ったのか?『俺は世界一頭が切れる男です』って?……ふふっあはははっ!」

銀二は、苛立った様子のエースや、多少困惑しているジャックの事などお構いなしで、バカ笑いを始めてしまった。

エースは、そんな銀二の悪びれていない態度に、我慢のピークを迎えて、ブチ切れた…と思いきや、深いため息を吐くと、自傷気味に笑いだす。

「こんな解りやすい手に引っ掛かった、俺にも落ち度はあるか…お前の性格を考えれば、解りそうなもんだったな」

「それは違いますよエースさん。明らかに、銀二さんが悪いです…それに、いつまでお客さんを、玄関前に留めとくつもりですか銀二さん?早く中に入ってもらいましょうよ」

エースが自分の落ち度?の事で反省していると、家の奥から一人の青年が出てきた。青年は、そう言うと銀二を軽く押しのけ、エースやジャックに笑顔を見せる。

「お久しぶりですねエースさん。それと初めましてですねジャックさん、僕は『ミツハル』と言います。どうぞ、中に入って下さい…」

ミツハルはそう言うと、二人分のスリッパを用意し、二人の前に置いた。

「久し振りだねミッツ。元気にしてた?」

「こちらこそよろしく…」

エースは、ミツハルと面識があったようで、親しげにミツハルに話しかけ、ジャックはいつもの様子で、軽く挨拶を返す。

ミツハルは、積もる話は中でと言い、中に案内し、エースとジャックはミツハルに連れられ、リビングに通された。

室内は、黒と白の家具で統一されており、一人暮らしの人間には多少広すぎる印象を受けるリビングだった。そして室内には、銀二やミツハルの他に、もう一人若い青年が居た。

青年は黒い髪を、センターに分けて伸ばし、シワ一つない綺麗なスーツを着こなしており、かなりクールな印象を受ける青年だった。