神への挑戦

「寝言は寝ていえとは言わねぇ。死んでから言え…」

ジャックはそう言って、エースににじり寄って行く。エースは笑いながらも、ソファーから立ちあがり、逃げる準備をしていると、携帯電話の着信音が聞こえてきた。

その音に敏感に反応したエースとジャックは二人同時に動きを止めた。

この事務所には固定電話が一台置いてあり、大抵の依頼はその電話番号にかかってくる。そしてこの事務所には一般の客以外にも、仕事が舞い込んでくるのだ。

いわゆるお得意様ってやつだ。

大きな金が動く仕事は大抵、携帯電話からかかってくる事が多く、今回の着信音は二人の私用の携帯電話ではなく、仕事用の携帯。つまりは、大きな仕事の電話である可能性が高いのだ。

エースは、自分のデスクに置いてある携帯を手取ると、着信相手を確認した後、通話ボタンを押した。

「毎度どうも…今回はどう言った要件で?」

一応この事務所の社長でもあるエースは、仕事の受付及び営業をやっている訳で、ジャックはエースの助手である。

ジャックも電話に出る事もあるが、ジャックの場合は事務所の固定電話しか出る事はなく、こういったお得意様相手は全て、エースがこなしているのだ。

エースは電話のやり取りを10分ほどすると電話を切り、身仕度を整え始めた。

「エース…仕事か?」

ジャックはソファーから立ち上がり、エースに話しかける。

「あぁ、今回は、お得意様からのご用命でな…しかも、やっかいな仕事だ。一緒に来てくれジャック…お仕事の時間だ」

エースは不敵に笑いながら、ジャックに話しかけた。ジャックはそんなエースの表情を見て、今日初めての笑顔を見せる。

なんだかんだ言って、ジャックはエースの能力を買っている。だからギャンブルで事務所の金を使い込もうが、仕事を辞めようとはしないのだ。

「了解…事務所の前に車を持ってくるよ」

「頼む。ついでにそこのカードで金も下ろしといてくれ…取りあえず50万ほど」