神への挑戦

だがエースには他にも策があった。現状を考え、この会社に潜入するよりも効果的な策が一つだけ残されていた。

「取りあえず俺は、別行動を取らせてもらいますよ。それと勝手ながら一つだけお願いがあります…」

エースは隣に居る小宮という男を信じていた。だからこう言葉を残して行く…。

「…この会社は間違いなく睡蓮会に関わりがある会社です。そうなると、警察関係者の誰かが、この事件の裏にある真実を隠蔽する奴が必ず出てきます。小宮さんはそれを何としてでも阻止して下さい。この事件はある意味チャンスです…睡蓮会を潰すにはね」

奇しくもエースとミストは、ある一つの目的が一致していた。それは睡蓮会を壊滅させる事だ。

この事件がきっかけで、睡蓮会は表舞台に出る他なくなった。それは完璧なまでの組織力を持った睡蓮会にとって、アキレス腱になる可能性がある…。

エースにとって、この機会を逃す手はなかった。そしてそれは、小宮にとっても同じ事である。

「…善処しよう」

「頼みますよ小宮さん。俺も過去を乗り越えて見せますから…」

エースの願いは銀次の願いでもある。そしてそれはエース達にとって、過去を乗り越える事でもある…親友との約束を果たす為にエースは、死地に向かう事になる。







「それじゃ行くよハヤト。準備は良いかい?」

ハヤトがジンに案内された場所は、椎名製薬工業の地下5階に位置する場所だ。最上階から直通で行けるこの場所は、普通の社員は存在すら知らないであろう特殊な通路を通ってこの場所に来た。

数多の階段を降り、そして辿り着いたこの場所は、不思議なぐらい空気が清んでいる場所だった。

「俺は構わん。どうせ何を準備すれば良いかわからんしな」

ハヤトは決断した。タケシの行方と、ミストの目的…それに睡蓮会なる組織が本当に存在するのかを確かめる為にこの場所に来る事を選んだのだ。