小宮はエースという男を昔から知っている。年はまだ若いが、物事を推理する能力はズバ抜けているし、仕事で冗談を言う男では断じてない。そして、下手な情報に惑わされる奴でもない…エースには何か確固たる理由があるに違いなかった。

「…じゃあどうやってミストは、彼等を洗脳したんだ?」

確信に迫る質問を小宮はエースにぶつけた。簡単に人を洗脳する術がミストにはある。そしてその方法をエースは知っている様に小宮には見えていた。

エースは本社ビルから視線を外し、小宮に視線を移すと真剣な表情で言葉を発した。

「脳内麻薬抑制剤『PMレイン』。ミストはそれを使って、未成年の若者を自分達の兵隊にしたんですよ…」

全てはミストの…とある双子の兄の手の上で踊らされた展開。

神に通じる道を自らの手で切り開き、神を殺す悪魔のシナリオを描いた男の人生をかけた計画。

誰もが成しえなかった神殺しを実現出来る、神界から堕落した悪魔の天使。

『堕天使ジン』の神殺しがこれから始まろうとしていた…。