神への挑戦

「ドラゴンか…手間…かけたな。悪い…」

かすかに開いた目でドラゴンの姿を確認したランは、軽く笑顔を見せるとドラゴンに語りかける。ドラゴンはそんなランにグーサインを出すと、笑顔で答えた。

「気にすんなっ!缶コーヒー一本でチャラにしてやるよ」

タダではないけど、缶コーヒーを奢れ。それはドラゴンのランに対する優しさだ…。

貸しを作った気はねぇ。俺は缶コーヒーの為にお前を助けたんだ…自分が迷惑をかけたのではないかと言う気持ちを、少しでも小さくする為の言葉だった。

「ふふっ…なら3本買わないといけないな。ドラゴンと銀次さんと…それにジャックさんの分をな」

ランはドラゴンの優しさを受け、冗談を冗談で返した。その言葉を受けたドラゴンはランの肩に腕を通すと、優しく体を支えた。その姿を見たジャックも開いている肩に腕を通すと逆側からランを支える。

「そいつは楽しみだ。俺のはブラッグで頼むわ…」

「了解…です」

ゆっくりとした足取りでランを担いで歩くドラゴンとジャック。リビングを横切る途中でドラゴンが銀次に話しかける。

「とりあえず俺は、ランを病院に運びますね。後は銀次さんに任せて良いっすか?」

「おうっ。俺の事は気にするな…早くランを病院に連れてってやってくれ」

銀次は目の前で腰を抜かしている初老の男から視線を外すことなくそう答えた。ドラゴンはその返事を聞くと、ジャックと一緒にリビングから出て行く。

マンションの廊下に出ると、目の前にはこれまたすごい光景が広がっていた。

「お…おぉ……全部君がやったのか?」

「そうっすよ。少し時間かかりましたけどね…」

廊下では、来る時に居た男たちが全てドラゴンに倒されていた。30人も居たこの男たちをドラゴンは一人で倒した…これもまた信じがたい。

というか一人の人間が出来るとは到底思えない。

ジャッジタウンの住人というのは、本当に化け物揃いなのだと痛感せざる終えない光景だった。所狭しと倒れている男たちを避けながらエレベーターに乗り込むと、3人はこのフロアから姿を消した…。