神への挑戦

「お前等に聞きたい事がいっぱいあるんだが、まずはこれを聞きたい…ゲンはどこに居るんだ?リュウがこの場に居て、ゲンが居ない事に違和感を感じるんだが」

目的とはかけ離れた質問をジンに投げかけるハヤト。この会社を乗っ取った理由や、ミストの真の目的。麻薬事件や未成年をターゲットに何をしたかったのか…。

言いだせばキリがないぐらい質問があるものの、ハヤトはこの会議室に来た時から、これをジンに聞きたくて仕方なかったのだ。

ゲンに対して苦い思い出があるハヤトにとって、ゲンは避けて通れないと考えたのだろう。

ジンはハヤトの質問を受け、表情を静かなものにした。今までが楽しげだとすれば、この表情は静か…憂いすら感じる表情を見せると、ポツリと言葉を返した。

「ゲンは……もうこの世に居ないよ」

「なに…言ってんだ?この世にいないってお前…自分が何言っているのか解っているのか?」

ゲンはもうこの世にいない。それは間違いなく…。

「もちろん解っているさハヤト…ゲンという男は死んだんだよ。もうこの世に居ない…」

ゲンが死んだ…。

無慈悲なる破壊神ゲンが死んだ?

ケンカでは奴に勝てる人間など居なく、百戦錬磨だったハヤトすら手も足も出せずに敗北をきっしたあのゲンが死んだ?

「笑えない冗談だ…そんな事あってたまるかっ!ゲンは簡単に死ぬような奴じゃねぇ!」

ハヤトはこの時、激しい憤りを感じていた。ゲンは友達だった訳でもないし、仲が良かった訳でもない。でも少なからずハヤトは、ゲンの事を認めていた。

力で周りを認めさせるカリスマ性。それに銀次にも似たケンカの強さや、相手の心すら壊す力は、ある意味ハヤトの憧れに近いものがあった。

ハヤトの理想は、ライオンの様な気高い強さを手に入れる事でもあったからだ。それをゲンは間違いなく持っていた…。だからゲンはハヤトにとって、負けてはいけない存在だった。