「もしもし。どうしたんだ?てか、ニュース見たかラン?」

着信相手はランで、ジャックは先ほどから流れているニュースの話題をランに問いかける。

「随分と日本語が達者なんだな。お前がジャックか?」

「誰だお前は?これはランの携帯だよな?」

ランの携帯電話からかかってきた電話なのに、電話の相手はランとは違う男の声だった。

「要件だけ言うぞ。今から指定する場所に10分以内に一人で来い。来なかったら、この携帯の持ち主を殺す」

「なっ!?殺すってどういう事だ!」

かなり物騒な内容の話に、驚くジャック。だが電話の相手は場所を指定すると、そのまま電話を切ってしまった。

切れた携帯電話を少し見つめていたジャックだったが、あまり考える時間はないようだ。ジャックは指定してきた場所を車に完備してあるナビで調べ上げ、その場所に向かうルートを確認する。

そして場所を把握した後、車を強引に割りこませ、その場をUターンし、目的地方面に車を走らせた。

車を器用に走らせたジャックは、時間ギリギリのところで目的地に着くと、待ち合わせの場所の近くに車を止め、その場所に向かった。

その場所にはチンピラの様な風貌の男が3人居り、その男にジャックは話しかけた。

「お前等がさっき電話かけてきた男か?」

チンピラの一人がジャックの姿を確認した後、急に笑いだした。

「本当に外人かコイツ!かなり日本語がうまいぞ」

その男はジャックの流暢な日本語がツボだったのか、下品な笑い声を上げる。

「余計な話はするな。お前がジャックだな?」

「あぁ…」

ジャックは下品に笑い続けている男を睨みつけた後、そう返事を返した。

「これから来てもらいたい場所がある。取りあえず車に乗ってくれ」