神への挑戦

「あなた方二人はこの場所に来た時点で、これから起きる事件から外れたんですよ…この『監獄』に来た時点でね」

カツミの意味深な発言に、エースは怪訝な表情をする。そして、ある事に気づいた…。

自分のポケットから携帯を取り出し、ディスプレイを開く。それを確認した後、出口の方向に視線を向け、そのままドアを見つめる。

「…そうか。どうやら俺達二人は、まんまとはめられたって訳だな」

どうやら全てを悟ったらしいエースの言葉。そして銀次も、エースと同じ答えに行きついたのか、意味深な笑顔を見せ、自分のタバコに火を着けた…。

「このライブハウスは地下にあるから圏外で、このライブハウスの入口は鉄のドアだった。大方、溶接か何かされて、外に出れないように加工したってところだろうな…」

エースや銀次がこの場所に来る事をあらかじめ予想していたのであれば、出れない様に加工する準備ぐらい容易い事だ。それに、音が出ないようにドアを溶接する手段もたくさんある。

溶接棒とアセチレンと高圧酸素があれば最小限の騒音で溶接する事も可能。

カツミの監獄という言葉の表現や、この場所の立地条件を考えると、それらの答えに行きついたという訳だった。

「その通りなんですが…随分と余裕なんですね。一応少しは動揺してもらわないと、準備のしがいがないのですが」

確かに二人には、動揺の様子はないかった。銀次は呑気にタバコをふかしているし、エースも特別動揺している雰囲気はない。

「敵のアジトに乗り込んでいるんだから、それぐらいの事は想定の範囲内だ。それに、簡単に外に出れないって解ってしるんだし、慌てたって仕方ないだろ。それよりも話しの続きを聞かせてくれ…お前達はどこの企業に攻撃を仕掛けるんだ?俺達はドロップアウトしたんだし、別に話しても支障はないだろ?」

流石はエースと言ったところか、どんな場面になろうと、心の揺らぎは見せない。全てを合理的に考え、自分の考えに絶対の自信を持ち、その場の空気を相手の雰囲気に持っていかせないのだ。