神への挑戦

(それにこの戦い方は、サヨちゃんにとってもあまりよろしくないだろう…)

サヨを連れ出すタイミングを失ったハヤト達は、サヨの様子を見守りながら、この試合を見ていた。サヨはというと、先ほどの動揺した様子とさほど変わっていない。

マリコの手を強く握り、試合の様子に視線を向け、浅い呼吸をゆっくりと繰り返している様に見える。マリコはそんなサヨに寄り添い、試合の先行きを心配しながら見つめている…。

(お前が一番解っているだろうヒサジ。サヨちゃんにとって、お前が怪我をする事がどういう意味に繋がるかはよ…)

ハヤトはヒサジの心配などはしていないが、隣で小動物の様に怯えている二人の事を心配していた。

一方、至近距離での互角の攻防を繰り広げている両者だったが、時間が経つにつれ、均衡が崩れつつあった。

「ヒサジが押してきたな。相手はガードが多くなってきている」

リング中央で殴り合いを見せていた両者だが、相手の手数が少なくなってきていた。というよりも…。

「ヒサジの手数が増えている。回転があがってきたのか…」

ヒサジは、相手の手数よりも多くパンチを繰り出していた。それは、的確に相手の急所を狙うパンチというよりも、ガードをさせるのが目的の様な攻め方。

それは次第に眼に見えて解る様になってきており、相手はガードで手一杯の状況になってきている。

すると、相手は一度距離を置き、体制を立て直そうとしたのか、小さいバックステップをした。だがその時だ…。

「ダウンっ!ニュートラルコーナーに下がって!」

相手選手は倒れ、レフェリーの指示通り、ヒサジはコーナーに下がって行った。