ハヤトはこの日、東京の駅で、待ち合わせをしていた…。

シンやカツミからの連絡は何もなく、エースからの連絡もまだ何もなかったハヤトは、はっきり言って、かなりの暇を持て余していた。なので今日は、自分のプライベートに時間を使っていたのだ。

溢れかえる人ゴミの中、解りやすい場所である人物を待っていると、その人物がハヤトに近づいて来た。

それは…。

「お待たせっ、少し迷っちゃった。結構待った?」

「別にそうでもないさ。アイツ等はまだ来てないしよ」

夏が近いこの季節、普段よりもオシャレな格好をした、マリコがハヤトの前に姿を現した。

「そうなんだ。早く会いたいなぁ…」

「さっき連絡があったから、すぐ来るとは思うんだが…噂をすれば何とやらだな」

ハヤトは、小さく笑顔を見せると、ある方向に目線をやった。マリコはハヤトの視線を追い、その方向に視線を送ると、満面の笑顔を見せる。

「サヨちゃーんっ!ヒサジ君、こっちこっちっ!!」

「そんな大声で呼ばんくても…」

マリコの元気な声を聞いたハヤトは、苦笑いを見せる。呼ばれた二人は俺らの姿を確認すると、こちらの方に歩いてきた。

「マリちゃんっ!久し振りだね。ハヤト君もこんにちわ」

「よっ。久しぶりだなハヤト。元気にしていたか?」

ハヤト達の元に来たサヨは、マリコの手を掴むと満面の笑みを見せ、そう答えた。ヒサジはと言うと、珍しくはしゃいでいるサヨの様子を見た後、ハヤトに話しかける。