『遂に利つも姐さんの仲間入りかあ…。』 今夜は雲がかからなければ月が綺麗なはず。 『満月の夜…あ、今日は十五夜だっけ。お団子作るの忘れていたよ。去年までなら、利つと…』 そう、去年まで十五夜の夜までに利つとお団子を作って飾っていた。 けれど今、え津は一人。 青柳屋にきて十数年。 後に【かぐや】と呼ばれる女郎の誕生の日でもあった。 *