もらったキャンディを、また引き出しにしまった。

…これ全部食べたら太っちゃうよ。

てんこ盛りになったキャンディを見つめ、ある事を思い付く。




…そうだ。

短い棒がついたミルクキャンディ。

そのうちの一つを制服のポケットに、そっと忍ばせた。










次の日の朝。

お兄ちゃんは、いつも通り…全く起きる気配がない。

トントンと部屋の扉を叩く。

「お兄ちゃん、先に行くね~」

…部屋からは、返事なし。

もぉ。昨日も遅刻だったみたいだし、大丈夫かな。

お兄ちゃんの素行の悪さに、お父さんもお母さんももう諦めてる。

とりあえず、犯罪だけに手をそめなきゃいいだなんて…ホント甘いんだけど。

私が親だったら、叩き起こして引きずってでも学校連れてってるよ?

外では怖いみたいだけど、家族には優しいお兄ちゃん。

お兄ちゃんが私をいつまでも小学生だと思ってるように、

お母さんたちもお兄ちゃんの事を、いつまでも幼いかわいい息子だと思ってるんだよね。