「当麻く~ん。待った?」

「遅ぇ…」

ぼそりと呟く当麻くん。

でも、顔がにやけてます。





今日は退院の日。

荷物を抱え、待合室で当麻くんが待っていた。


「今からどこ行く?デートしよーぜ」

荷物あるし、サンダル履きだし、ジャージだし。

今から出かけるなんて無理なのに、当麻くんはなぜかお出かけ気分満々。




「無理でしょぉ?一旦家に帰らなきゃ」

「いーって。荷物はコンビニで送るしな」

「そうなの~?うーん…」

今日は久々おうちでゆっくりして欲しいんだけどな。




それにしても…

当麻くんが退院するのに

誰も家族は来てないんだね。






友達や、仲間が来るらしかったんだけど…

私が来るから、全部断ったみたいだった。







「荷物持つよ?」

「いーって。触んなっ」

紙袋を持とうとした手を、パチンと払われる。

「もぉ…痛いっ」

「ハハ、悪い。じゃあ、ゴメンネのキスを…」

「嫌ぁっ、もぉ~」

当麻くんは私を引き寄せ、ロビーで堂々と頬にキスしてくる。