「こんなんあんたに言っても、しゃーねぇケドさ」

天ちゃん先輩は、また…

空を見上げる。





「…できるなら、オレが育ててやりたかったよ。…何で行っちまったんだろーな」

夜空に、

星が瞬いていた。






月ちゃんが、天ちゃん先輩は

いざとなるとカッコ良くて

優しくて、紳士だって言っていた。







今まで私にはそんな素振り見せなかった彼だけど、

今…この時だけは、

当麻くんより、カッコ良く思えた。







夜空に吸い込まれて行ったこの言葉を、もっと早く…

彼女に聞いて欲しかったな。





「…悪いな、くだらねー話して。帰るか」

「そんな事。…彼女、子供さんと元気に暮らしてるといいですね」

「…あぁ。」

「彼女はきっと…天ちゃん先輩が優しいからこそ、頼れなかったんじゃないですか?

当麻くんには悪いけど、当麻くんは彼女からしたら利用しやすかった…っていうか」