恋するキャンディ~私だけの甘々不良彼氏

「と…うまくん?」

「おー。何でこんなトコいんだよ…。危ねぇじゃん。早く帰れ」

不機嫌そうに言う当麻くんは、自分が病院を抜け出した事に関しては何の弁解もせず…いきなり私の心配。




「それよりっ。さっきは…ごめんね。当麻くんの痛い所に…無理やり踏み込んで」

「…」

当麻くんは私には何も返さず、視線を逸らし天ちゃん先輩を見る。

「オレに外せってか?当麻、時間ねーんだ。早く…しろよ」




天ちゃん先輩は、舌打ちするとバイクを降りて

病院の角に消えて行く。





それを見送ると、当麻くんはバイクにまたがったまま…ポケットからある物を取り出した。

…え?




私が何か言う前に、それに火をつけると…夜空に向けて、当麻くんは細く息を吐き出した。

白い一筋の煙が、暗い夜空に上がっていくようにみえる。




「当麻くん…タバコは…」

「ガマンすんの疲れた。禁煙もヤめた」

そんな…

せっかく今までずっと頑張ってきたのに?



「さや…」

当麻くんは口にタバコをくわえたまま、私をじっと見つめる。