あぁ…もう、やめてぇ。




「それ、昨日の仕返しだ。オンナに理由聞いとけ。

当麻…病人だし役立たずじゃん。どのみち足手まといだわ。…明日、来んなよなぁ~」


天ちゃん先輩は通路に唾を吐き捨て、そのままエレベーターの方に歩いて行った。

後ろから、ぞろぞろ先輩たちが歩いて通る。

「当麻も弱っちくなったよなー。キンパツじゃねーと、力でねーのかよ」

「やっぱ、オンナだろ。アレ、学年一らしーし?優等生と付き合うと、あーも変わっちまうもんかねぇ」

先輩たちは、崩れ落ちている当麻くんをあざ笑って去って行った。





「当麻くん、これで血拭いてね…」

ハンカチを渡すと、当麻くんは情けなそうな顔をして目を閉じた。

「…拭いてくれよ」

「あ、うん。痛いかも」

「…っ」

天ちゃん先輩、ゴツイ指輪してたから…多分それで唇が切れちゃったんだ。

当麻くんは、苦痛に顔を歪め…私の手に自分の手を添える。



「…カッコわりぃ」

「そんな事ないよ。さっき助けてくれた時、最高にカッコ良かったよ」

私がそう言うと、当麻くんは少しだけ笑顔になった。