「話はチラッと聞いたけど…」

原因までは聞いてない。…聞けなかった。何となく聞きづらかったし。

「詳しく聞いてないんだ?私も姉ちゃんから聞いただけなんだけど」

「うん…」

「火事だったんだって」

「…え?」

「なんかねー。噂では絹川当麻が親への腹いせに燃やしたとか言われてるらしーんだけど、本当の所はわかんないんだよね」

「そんな、当麻くんがそんな事するわけないよ!?」

だって…

あんなに辛そうな顔…してた。

「あくまで噂ね。で、今の場所にあんな城みたいな豪邸建てたワケ。何でもオヤジが戦国武将ファンで~、敵に攻め込まれないようあんな高い位置に家建てたみたい」

敵って…。

当麻くんからしたら、お父さんが本当の敵なのに。

「月ちゃん…。それで、火事になって…家は全焼?」

「多分ねぇ。それからしばらく絹川当麻も学校休んでたみたいだし、更に荒れてたみたい」

そうなんだ…。

お爺さんの家がホッとするって言ってたのは、

懐かしい物がある、唯一の場所…だから?




何だか急に、

当麻くんに会いたくなってきた。